社会に出る皆さんへ。保険に入るその前に…

今回は、アクチュアリー(試験)とは直接関係ない内容で、かつ、このブログの大半の読者の方には極めて自明な内容と思われ大変申し訳ないのですが、ある日本を代表する大企業に明日入られるという方が、(もし保険に入るとして、大企業の従業員の方が一般の方より遥かに有利な条件で加入できる)団体定期保険(*)等の選択肢を考慮されないと見受けられ、それはのは大変勿体ないので、もしかしたらお役に立つ方が一人でも出れば幸いと念じて、書き連ねる次第です。


社会に出る皆さんへ。(生命)保険に入る前に


1.次の4点を考えられることをお薦めいたします。

(1)何のために、その(生命)保険に入るのですか、その(生命)保険に入る必然性はありますか。保険に入らずご自分でリスク管理*1するという選択肢はありませんか?
(2)(生命)保険に入るとして、特に死亡保険金は自分では使えません。その(死亡)保険金を誰に遺しますか?ご両親?配偶者?遺すとしてその金額(保険金額)は妥当ですか?
(3)他社の保険、(大企業の従業員の場合には)会社の団体定期保険や共済(都民共済県民共済その他)等*2、目の前に出された保険プラン以外の様々な選択肢を検討しつくしましたか?
(4)そのプランはご自分で決めたものですか?「生命保険募集人」*3に薦められたままのプランではないですか?


2.また、「アクチュアリー試験のカラクリ」*4
http://d.hatena.ne.jp/actuary_math/20100217
の最後に挙げた
http://blog.livedoor.jp/tsukin_book/archives/2591152.html
で紹介されている
坂本 嘉輝さん*5が書かれた
『生命保険「入って得する人、損する人」』 講談社isbn:4062726319
を読まれるのもよいかも知れません。


3.最後によくいわれる話ですが、
生命保険は、家の次に高い買い物
ことを印鑑をつく前(あるいはクリックの前?)に思い出しましょう。
*6

(*)団体定期保険

http://www.1st-get.com/hoken/2006/03/post_17.html
より

団体定期保険とは、大企業や企業グループに勤める社員などを被保険者とする、保険期間1年の死亡保険です。自分で保険料を負担して任意加入するケースのほか、会社が保険料を負担してくれる場合もあります。

団体定期保険の一番のメリットは、保険料が割安なことです。これは団体保険が大量販売・一括管理されるために、保険会社の経費削減が図れるからです。一家の大黒柱が加入する保険の主流といえば定期付終身保険ですが、この定期保険に当る部分を団体定期保険にすれば、保険料の節約に効果的です。

また、高額保障の場合には通常は医師の診査などが必要ですが、団体定期保険なら告知だけで加入できるという簡便さも魅力の一つです。さらに1年ごとに契約内容を変更できるので、保障額増減にも柔軟に対応できます。

なお、上記の引用には記載がないですが、成績がよければ*7、(危険差)配当が返ってくることもあります。保険期間1年なので利差損と相殺されることもありません。

*1: 例えば、 http://twitter.com/s_iwk/status/11221045661 をご覧ください。このTweetをされたいわき(s_iwk)さんは、本ブログでの何度か言及していますが、生保アクチュアリーの方です。

*2:医療保険等「第三分野」と呼ばれる保険の場合は損保も選択肢に入ります。

*3:保険業法第2条第19項 http://www.nn.em-net.ne.jp/~s-iwk/2010-04-01/hou/a002.html (なお、このサイトは上記のいわきさんの労作です。)「生命保険会社…の役員…若しくは使用人若しくはこれらの者の使用人又は生命保険会社の委託を受けた者…若しくはその者の役員若しくは使用人で、その生命保険会社のために保険契約の締結の代理又は媒介を行うものをいう。」つまり、生命保険会社の役員も含まれるのでご注意ください。

*4:ちなみに本エントリーの元となった書籍がPDF化されていたので「団体定期」で検索してみましたが、残念ながらヒットしませんでした。

*5:高名な生保アクチュアリーの方です。

*6:上記の坂本さんの本は、生命保険会社に払う生命保険料累計の1万分の1レベルの値段で買えます。

*7:大企業の従業員なので予定を上回す死亡者は出ることは少ないです。