アクチュアリーの転活(続々)

ブログのリファラーに2ちゃんねる関連のものが増えたので拝見すると、また2ちゃんねるで私のブログへのリンクが張られていたようです。いつものことながら本当にありがとうございます。


リンク元のトピックスで
ttp://society6.2ch.net/test/read.cgi/hoken/1266847112/630 *1
ttp://society6.2ch.net/test/read.cgi/hoken/1266847112/645
ttp://society6.2ch.net/test/read.cgi/hoken/1266847112/646


TOEIC965、2009年会計士試験合格、税理士簿財法所合格
アクチュアリーKKT数学生保合格、早稲田政経卒、27歳、職歴都銀2年
現在無職 」
という方が(会計士としての採用を目指し)監査法人を10社以上回られてたという書き込みを目にいたしました。


会計士(試験合格者)の採用状況が厳しいとは仄聞しておりましたが、このような素晴らしいスペックを持つ方(念のために申し上げますが、皮肉ではありません。)が監査法人に10社以上受けられているのを目にするにつけ改めてその厳しさを再認識したというのが率直な感想です。


今回は「アクチュアリーの転活(続々)」ということで、この方に関して私の「感想」を述べさせていただきますが、前から何度か申し上げているように私は2ちゃんねるはROMに徹すると固く決めておりますので、このブログにのみコメントし2ちゃんねるの書き込みはいたしません。
元のご投稿者の方が、何らかの形でご覧になってくださると幸いです。


この方の場合は
(1)アクチュアリー試験3科目に合格しており、このまま受験を続ければ30歳までに準会員への到達が有力視されること*2
(2)公認会計士試験合格
(3)TOEIC965という英語力
あたりを武器にして、「怒涛の生保受け」を敢行すれば、生保に採用される可能性が十分あるのではないかと考えます。*3


アクチュアリー候補者で、この方に及ばないスペックで転職している例などいくらでも存在します。現時点までの唯一のネックは保険業の経験がないことくらいだと思います。(現在就業していない点は、もちろん、多少はマイナスにはなると思いますが、都銀の経験があり、今まで正規の就業形態を全く経験していないということではないので、決定的なものではないと考えます。)


ただ、このような(生保中心で活動を続ければ生保に入れる可能性の高い)方こそ、生保だけではなく、損保、信託、コンサル等にも幅広く目を見開いてくださると嬉しいです。


監査法人においてすら、全く目がないわけではないと考えます。
監査法人では、生損保会社*4を監査していますが、それだけではなく、一部の少額短期保険業者*5、各種の認可共済*6、住宅瑕疵担保責任保険法人*7等で会計監査が必要としているところが存在するようになっています。さらにそのような事業体の数は増大する可能性があります(末尾のURL参照)。
このような事業体では、保険・(共済)数理に基づき負債(責任準備金、支払備金)を計上しているので、アクチュアリアルな*8バックグラウンドを持つ人間が必要とされています。
更には、監査法人では、会計監査だけではなくコンサルティングも行っているはずなので、そのコンサルティングの対象にはそのような事業体も含まれると考えます。


強いて、この方にさらに取り組むべき点を見出すとすれば、
アクチュアリーとしての知識*9「が(おそらく)御自身の想像されるより遥かに幅広い範囲で活用され、また今後その範囲が広がりつつある」
とことへの認識とその最大限の利用(候補先の選定及び面接時のアピールポイント)ただ、その1点なのではないかと思います。


その意味でもなるべく早めに
転職エージェントに登録されて一度エージェントとご相談
されるとよいのではないかと思います。


<参考URL>

●保険毎日新聞の記事
http://www.homai.co.jp/news/kiji/100419.htm

●拙ブログ *10
http://d.hatena.ne.jp/actuary_math/20100123
http://d.hatena.ne.jp/actuary_math/20100319
http://d.hatena.ne.jp/actuary_math/20100322

*1:例によって先頭にhを補ってください。以下同様

*2:損保数理あたりがポイントになる可能性はありますが

*3:もちろん上記の記述以外の部分について−例えばPCのスキル等−は、通常(以上)のレベルと想定しての話です。例えばPCを全く使えないということであれば話は変わってきます。

*4:保険会社は資本金・基金が10億円以上必要で、会社法の規定により自動的に会計監査が必要

*5: 保険業法施行令第38条の2 http://www.nn.em-net.ne.jp/~s-iwk/2010-04-01/rei/a038_2.html の規定により資本金3億円以上で会計監査が必要

*6:例えば、消費生活協同組合の場合、消費生活協同組合法施行令第10条 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H19/H19SE373.html で負債の額が200億円以上で会計監査が必要。事業協同組合でも同様の規定

*7: 特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律施行規則 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H20/H20F16001000010.html 第30条の規定により業務報告書に会計士又は監査法人の監査が必要

*8:actuarial:actuaryの形容詞形

*9:もちろん「経験」もですが、さすがに経験はないので…

*10:上の2つは該当トピックスでも紹介されていますが