1.論述までの準備(知識面)
2次試験は上腕三頭筋が痛くなったりした記憶がある*1ほどの記述量があるのは確かで、どうしても「論述」に光があたってしまいがちですが、実は
論述以前に知識面を充実すべき
と考えます。
例えば、受験要領
(去年のものは
http://www.actuaries.jp/examin/H21exam/H21-all.pdf
です)
をご覧になると分かりますが、
昨年から
全体の6割程度が『アクチュアリーとしての実務を行う上で必要な専門的知識を有するかどうかを判定する問題(第I部)』
全体の4割程度が『アクチュアリーとしての実務を行う上で必要な専門的知識に加え問題解決能力を有するかどうかを判定する問題(第II部)』
で構成されていて、
「第I部、第II部のいずれかでも最低ライン(第I部・第II部ごとの満点の40%を基準として試験委員会が相当と認めた得点)に達していない場合は、不合格」
とされます。
このように第I部(知識問題)と第II部(論述問題)に分かれた出題は、少なくとも損保では前から行われていて*2、それが明文化されたに過ぎないと理解しています。(ただし、生保・年金はそうはなっていなかったと思います)
つまり、いくら論述問題ができても知識問題ができなければアウトということになります。もっとも、これはほとんどナンセンスな話で、以下で述べるように、知識の裏付けがあってはじめていい論述ができると考えます。
したがって、問題は
知識をどう身につけるのか
ということになります。
もちろん1次試験と同様に
「過去問題をみて出題されやすいところを探り、該当箇所を教科書で押さえる」
ことが基本になるのですが、2次試験ではそれだけでは必ずしも十分でありません。
それは、2次試験で必要とされる知識は日々進化・拡大しており(近年進化のスピードが更に加速)、過去問・教科書の記述が文字通り過去のものになり、ときには間違いにすらなる可能性もあるからです。
そのような意味で、日々の知識のアップデートが必要になってきます。当然(損害)保険会社に所属していればいろいろな情報が流れてくる(回覧等)のですが、それだけでは必ずしも十分とはいえず、例えば以下のようなサイトや書籍を能動的に訪問・購読することが望ましいと考えます。
(1)金融庁のサイト
金融庁のサイトで掲載されている、法規の情報及び次の法規集全般に言えることですが、
可能な限り「原典」に当たる
ようにされるとよいと考えます。
つまり、教科書に「○○法第△条」と書かれていてもそれで満足せず、以下のサイト等で都度ご自身で確かめることが望ましいと考えます。当然手間はかかりますが、そうした方が頭に残りやすいです。
(a)トップページ
(b)報道発表資料
(e)告示一覧
http://www.fsa.go.jp/common/law/kokuji.xls
(エクセル内で各告示のPDFにリンク)
(f)保険会社に係る検査マニュアル
(h)保険会社向けの総合的な監督指針
(j)同別紙様式集(PDF)
(k)新着情報配信サービス
(2)法規集
(a)保険関係法規集(byいわきさん)
http://www.nn.em-net.ne.jp/~s-iwk/
法律で参照される府令がリンクで示されていたり、複雑な多重括弧が色分けされていたりと、至れり尽くせりです。告示がまとまっているのも貴重です。(今は上記の金融庁の「所管の法令等」で告示が見られるようになりましたが、その昔はそれもなくここが唯一のよりどころでした)
(b)法令データ提供システム(電子政府:e−gov)(上記(a)「保険関係法規集」にもある例)
○保険業法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H07/H07HO105.html
○保険業法施行令
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H07/H07SE425.html
○保険業法施行規則
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H08/H08F03401000005.html
(c)法令データ提供システム(電子政府:e−gov)(上記(a)「保険関係法規集」にない例)
○地震保険に関する法律
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S41/S41HO073.html
○地震保険に関する法律施行令
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S41/S41SE164.html
○地震保険に関する法律施行規則
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S41/S41F03401000035.html
○租税特別措置法(第57条の5:保険会社等の異常危険準備金)*3
http://is.gd/cwMNg
○租税特別措置法施行令(第33条の5:保険会社等の異常危険準備金)*4
http://is.gd/cwMOm
(d)国税庁長官通達(法令解釈通達 法人税関係 個別通達)
○平成15年12月19日付課法2-24
「損害保険会社の所得計算等に関する法人税の取扱いについて (法令解釈通達)」
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kobetsu/hojin/031219/01.htm
(3)ニュース
余談ですが、官報以外の記載内容(特に記者の「私見」が入っている部分)は必ずしも正確ではないので要注意です。
(a)官報(過去30日分閲覧・ダウンロード可能です)
(c)Yahoo!ニュース 保険業界
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/economy/insurance_companies/
(d)保険毎日新聞
(見出しとトップ1記事だけですが…)
http://www.homai.co.jp/
(4)書籍
(a)「損害保険会計と決算」(損保総研)
http://www.sonposoken.or.jp/content/view/full/3064
損保2(損保会計)受験者必携の書籍のみならず合格後も役立つ書籍*5です。
(毎年更新されるため、教科書の"outdatedness"を補完してくれます)
(5)海外の情報
余裕があれば、海外の関連サイト
(例えばソルベンシーIIなら
CEIOPS(Committee of European Insurance and Occupational Pensions Supervisors)
http://www.ceiops.org/ )
なども適宜当たるとより効果的です。
ただし、当然ながら膨大な英文と格闘しなければならないですし、これまで述べた国内の関連サイト・書籍だけでも十分に「おなかいっぱい」になると思います。
費用対効果の大きい方法として、まずは、Twitter上で、Yosuke Fujisawa(@actuaryjp)さんをフォローされることをお勧めします。
(6)昔との比較
前記のとおり、必要とされる知識量は、昔と比べてどんどん増しているのですが、
(a)インターネットの発達によって昔より楽に情報を得られるようになったこと
(b)人目にほとんど触れることのない「文献」からの出題がほとんどなくなったこと
は昔より有利な点として挙げられます。*6