「ブラフ」の考察−「お前は何様だ!」と怒鳴られた就活生

Twitterで凄まじい記事
「お前は何様だ!」と怒鳴られた就活生
http://news.livedoor.com/article/detail/4698469/
を紹介されました。


要点は、
(1)「自分のやりたいことがあっても、それをねじ曲げて会社に合わせろ」と言った就活生に40代管理職が
お前は何様だ!  そんなにやりたいことがあるんだったら、就職なんてしなくていい。ひとりで会社でも作りなさい!
と恫喝。叱られた学生はショボン
(2)その後「あいつみたいな奴が部下なら、徹底的に鍛えたいな」と本人のいないところで評価
(3)そのあと、「丁稚奉公」の大切さetcを強調
というものです。


これを読んで想起したのは、
(ギャンブル用語の)ブラフ( Bluff )
つまり
こけおどし(する), 威嚇(する); はったりで切抜ける
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%D6%A5%E9%A5%D5
です。
あるいは、「猿回しが、猿に噛みつき主従関係をはっきりさせること」と言い換えてもよいかも知れません。


これでおしまいでもよいのですが、以下、蛇足ながら最後のほうから何点か引用とそれに対するコメントを。

難しいですよね、大人が何を考えているかって。大人や先輩の社会人はとにかく「自分探し」「自己実現」をあまりよくは思っていないのです。むしろ毛嫌いしている程。

難しいですよね。「大人」によって考えが違うので。
私もモスキート音
http://itsd210.s24.xrea.com/ja/mosquito_sound/
で12,000Hzを超えると聞こえないので、生物学的には、一応「大人」の部類に入ると思うのですが、「自分探し」「自己実現」を大変良いことだと思っています。
寧ろ今の学生さんは「大人や先輩の社会人」の言うことを(過度に)聞きすぎるとおもうくらいです。本ブログのテーマである、アクチュアリー試験に関連づけると、良いと言われる教科書・参考書を頭から全部解こうとするのは「過度な素直さ」の発露です。

本当にやりたいことができるのが、社会人として20年くらい経って、人と組織をちゃんと動かせるようになってから

20年程度では、(大企業だと)せいぜい中間管理職クラスで、やりたいことのいくつかはできるとしても(すべて)「本当にやりたいことができる」とまでは言えないと考えます。
それを待つには1.5倍の30年(役員クラス)かかります。しかもそうなれない可能性の方が圧倒的に高いでしょう。
逆に、チャンスに巡り合えれば、2年もたたいうちに、やりたいことの一部ですが、ボトムアップの形で動かすことも不可能ではないと考えます。

最近の若い人は、自分のやりたいことを今すぐにやらないと意味がない、成長できないと信じ込んでしまっているようです。良くいえば真面目なんですが、悪くいえば視野が狭い。

真面目という点は同意ですが、アクチュアリー試験支援の過程で出会った「若い人」に「自分のやりたいことを今すぐにやらないと意味がない」なんて考えている人はほとんどいませんでした。寧ろ上記のように、(必ずしも合理的とは言えない)試験勉強に自分を殺しているようにも映りました。寧ろ、場に不似合いなブラフで「自分のやりたいこと」を実現する方の視野を考慮すべきかも知れません。


このような軍隊的とも言える気質の方は(特に上の世代になるほど)結構いるものですが、そのような方には代表的な軍人の一人である山本五十六
http://ilovenippon.jugem.jp/?eid=148

やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。
話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。
やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。

という言葉がぴったりかと考えます。
(といっても、そのような方々がこのブログを読んでいるとは思えないのですが)


最後に
「ブラフ」に負けるな就活生!

(2010/4/5 追記)
もう一度読み直すと(一度目で気付くべきでしたが)このセミナーは「就職セミナー」ですから、「管理職」氏は、セミナーの受講生ではなく「講師」として来ていることになります。
となると、当然会社名(+氏名)を出しているわけです。
「人材育成コンサルタント」氏にだけ真相(?)を語ったのも「人材育成コンサルタント」氏の口から会社名を含めて悪い評価が語られることを恐れた計算が働いたのかも知れません。

ただし、「人材育成コンサルタント」氏の口は封じても、叱られた彼を含め受講者の意識を変えることはできません。
その場の受講者がその会社を忌避することはもちろんのこと、口コミ(ネットコミというべき?)を通じて着実に悪評が広がっていきます。