高校生クイズでの「重複組み合わせ」
今回は番外編で、先日(9月5日)日本テレビ系列で放送された高校生クイズ(全国高等学校クイズ選手権)
http://www.ntv.co.jp/quiz/index.html
でピーター・フランクル先生が出題された問題を考えてみます。
この問題は高校生のチーム(3人組)が20分かけて考えていました(4チーム中2チームが正解)が、
ちょっとした知識+電卓があれば(高校生のチームは筆算で算出)、
アクチュアリー試験の小問で目安となる( http://d.hatena.ne.jp/actuary_math/20080815 )
「1問10分」
で解くことが可能な問題です。
問題は次のようなものでした。(録画していたわけではないので、細かいニュアンスの違いはご容赦ください。)
「1〜90から5つ引いて小さい順に発表するとき連続した数字があらわれないひきかたは何通りあるか?
例えば、
3,16,18,40,57のようなものはOK
3,16,17,40,58はNG(16と17が連続しているので)」
このような問題で、考えられる手法の一つは
「『残り』をうまく活用する」
ということです。
(余事象はその典型例です。なお「残りの活用」についてはまたの機会に述べることがあるかも知れません。)
つまり「連続した数字があらわれる引き方」を考え、全体の引き方(通り)から引くというものです。
私も最初そのような方法を考えてみました。
連続した数字があらわれる引き方としては2個連続、3個連続、4個連続、5個連続の5つがあるので、それぞれを数えあげられればそれを引けば求められます。
ただし、2個連続の中には3個連続もはいるので
○○***○***○***○
(○が選ばれた数、***はその間に何個かの数が入ることを意味します)・・・(*)
のように「丁度2個だけ」連続している数を求める必要があります。
これを3個連続、4個連続を除いて・・・と考えると、3個連続の中には4個連続もあるので厄介です。
ところが(*)の状況を再度考えてみると、最初から、選んだ5個の間に何らかの数が入ればいいということに思い至りました。
つまり
のような状況を考えて、
が選ばれた数、がそれぞれの数の間に入る数を表すことにすると、
を考えればよいことになります。(両端には数がなくてもよい、真ん中の4つには数が必要)
これより、
を満たす整数解の個数を求めることになります。・・・(※)
全部0以上にそろえるため、
とおくと、
の整数解の個数を求めることになります。
これは、の6文字から重複を許して81個を取る重複組み合わせの数
に等しいことが分かります。
これは81個の「丸」と5本の「棒」を一列に並べる並べ方に等しくなります。
(一番左の棒より左にある丸の数が,一番左の棒と次の棒の間にある丸の数の数がという具合です。
つまりこの個数は
となります。
(一般にが成り立ちます。今回はです。
重複組み合わせは昔の高校数学では頻繁に扱われていた素材です。
(※)くらいになれば高校の実力テストレベルの問題といってもよいでしょう。
今の高校数学での取扱がどうなっているかは不明ですが、
番組の中で、秋山仁先生が「今の高校数学であまり扱っていない」のような発言をされていたと記憶しています(これも細かい発言は覚えていません。)ので、重複組み合わせに慣れていないことが高校生の精鋭でも苦戦した一因でしょう。
最近のアクチュアリー試験では単純に場合の数を数えるような問題の例は少ないのですが、簡単に確率を求める問題にも変更できるので、頭の片隅にでもとどめておかれると役に立つかもしれません。
(出題予想問題例)
「1〜90から5つ引いて小さい順に発表する。連続した数字が表れない(注)ような確率は、□である。
(小数点以下第3位を四捨五入して第2位まで求めよ。)
(A)0.62
(B)0.66
(C)0.70
(D)0.75
(E)0.79
(F)0.84
(G)0.89
(H)0.94
(注)
3,16,18,40,57のようなものはOK
3,16,17,40,58はNG(16と17が連続しているので)
」
(略解)