アクチュアリー試験と実務

今年度のアクチュアリー試験も今日で終了いたしました。
受験された皆様は本当におつかれさまでした。


今日は24日
http://d.hatena.ne.jp/actuary_math/20081224
の「学生」さんのコメント

>ただ実務のための資格試験と考えると知識重視というのは良い傾向だと思います。
をもとに「アクチュアリー試験と実務」というテーマで少し考察したいと思います。


アクチュアリー試験で問われるものが、実務に直結するものかどうかは一考の余地のあるところだと思います。

試験ではしばしば問われるが実務ではほとんど使わない事項は少なくありません。

例えば、コーシー(Cauchy)分布というものがあります。
X,Yが独立で、それぞれ正規分布N(0,\sigma ^2)に従うとき、Z=X/Yが従う分布であり、
確率密度関数
\frac{1}{\pi}\frac{1}{1+z^2}
になります。

これを今年は取り上げなかったのは、去年そのままの形で出題されていて今年は出ないと考えられたからです。

このようなものが実務とは全く関係ないのはご理解いただけると思います。

また、現在のようにPCはおそか関数電卓も不可という状態では、出される問題がいわゆるToy Problemのようなものになってしまう危険性が常に伴います。

逆に、(当たり前のことですが、)試験では全くまたはほとんど問われないが、実務では重要な事項も存在します。

特に最近は国際化の流れが進んでいて、国際会計基準や(EUの)ソルベンシー2などの諸外国の動きをキャッチアップしていかなくてはならなくなってきています。

ご存知だと思いますが、アクチュアリー試験合格には平均6〜8年程度、10年以上かかることもざらといわれています。
この値は、合格者の平均値ですから、10数年来受け続けて合格しないという人も珍しくありません。

このような人々ができるだけ早く試験から離れ、実務に直結する知識・技能を習得される機会を増やしてほしいというのが、私の願うところでありこのブログを作った動機の1つでもあります。


なお、このブログは今日で最後にする予定です。コメント返しは新年になるかも知れませんがよろしくご了解ください。
それでは皆様よいお年を。