2009年度アクチュアリー試験解説速報(数学)
あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
2009年度アクチュアリー試験のうち数学の「解説速報」を作ってみました。
当然公式(アクチュアリー会)のものではないので、正確性等については保証するものではありませんのでご了解ください。
問題1
(1)
(2010/8/9 amar さんのご指摘(コメント欄ご参照)により係数の修正)
A,B,Cが最初に勝つ確率をそれぞれとすると、
上式を全部合計して、
∴→の答えは(I)
また、
さて、
X,Yの2人でこのゲームを繰り返し(XYXY…の順で)たとき、X,Yの勝つ確率をそれぞれとすると、
上式を全部合計して、
∴
A→Cで優勝する確率は、
C→Aで優勝する確率は、
Bが優勝する確率は、
Bが2番目に勝つ確率は1から上記の各確率を引いたものであり、
→の答えは(G)
(2)
と変数変換
このとき、
であり、
また、
[tex:0
*3
→の答えも(F)
(4)
各の分散は。
∴の分散はなので、標準偏差は→の答えは(C)
次に、
中心極限定理により は標準正規分布で近似できるので、
これを解いて
→の答えは(I)
(5)
各の部分に着目する。
・・・(ア)
とすれば、確率密度関数がの式との式に分解できると考えられる。
(ア)のとき、
なので、
であり、
これより、の同時確率密度関数は、
とは独立で、
→の答えは(J)
また、のとき、
これより、
また、→の答えは(B)
(ではないので注意)
→の答えは(C)
(6)
一様分布[tex:U(a,b) \, (a0)]としとするとき、
最初の5本の測定値は、に従う。
であり、
は、自由度4のカイ二乗分布に従う。
∴の95%信頼区間は
であり、
∴の95%信頼区間は
100本合わせたジュースの量の分散は、なので、
95%信頼区間は
→の答えは(B)、の答えは(G)
(8)
「2×2分割表」の問題として考える。
帰無仮説を「予防接種の効果がない」つまり「AとBが独立」とすると、
が自由度1のカイ二乗分布に従う。
これが有意水準で棄却されるためには、
これより、つまり→答えは(D)
(9)
z変換の式をとおく。
確率変数を(真の)相関係数とし、
とすると、は、のとき近似的に
(ただし、)
に従う。
相関係数の95%信頼区間の下限が であることから、
とで線型補間して、
→答えは(D)
(10)
(ロジット変換)とおく。
との関係は
1.2 | 2.2 | 2.7 | 4.5 | 4.9 | |
-2.19 | -1.39 | 0 | 2.19 | 2.19 |
である。
ここで、
とおくと、
より、
そこで、
として、
の回帰式を求める。
12 | 22 | 27 | 45 | 49 | |
-219 | -139 | 0 | 219 | 219 |
なので、
の推定値は、
つまり、
を満たす。
これを解いて、
∴、
→の答えは(B)、の答えは(I)
(11)
は、Cにいる虫が1分後にBにいる確率なので
→(B)
は、Dにいる虫が1分後にCにいる確率なので
→(B)
後半はヒントと無関係に解くことが可能。
Cにいる虫が最終的にAに行く確率を、Dにいる虫が最終的にAに行く確率をとする。
Cにいる虫が1分後にA,B,C,Dに行ったとき、最終的にAに行く確率はそれぞれなので、
・・・(ア)
同様にすると、
・・・(イ)
(ア)(イ)の連立方程式をといて、
さて、最初にC,Dに虫を入れる確率はずつと考えられるので、
求める確率は、ベイズの定理により、
→の答えは(E)
(12)
の確率密度関数は、
(の確率密度関数のの部分を2倍)
また、
の確率密度関数は、
さて、
ここで、
とおくとき、
つまり
となる。
[tex:log(U)
1.7 | 0.2 | 0.5 | 2.0 | 2.8 | |
-0.245 | -0.32 | -0.125 | -0.5 | -1.62 | |
0.8 | 0.4 | 0.1 | 0.6 | 0.2 | |
-0.22 | -0.92 | -2.30 | -0.51 | -1.61 | |
判定 | × | ○ | ○ | ○ | × |
したがって、採択されるのは、0.2,0.5,2.0の3つであるのでその平均は
→答えは(C)
問題2
(1)
(初めて2回続けて表の出るのは回目の次の回以降)→の答えは(C)
次に
事象I:1回目に裏が出て、残りの回目のうちに2回続けては表が出ない(1回目表だと2回目に表が出る残り全部裏でも条件を満たさない)→の答えは(B)
事象II:上記の排反事象なので1回目は表→の答えは(A)
2回目表だと条件を満たさないので2回目は裏→の答えは(B)
これらより、
→の答えは(B)、の答えは(D)
のとき、
これの特性方程式は、
であり、これを解くと、
したがって、
の形をしているはずである。
選択肢の中でこれを満たすのは、(C)のみ。→の答えは(C)
(2)
は
事象I:1回目に裏が出て、残りの回目のうちに3回続けては表が出ない
事象II:1回目に表、2回目に裏が出て、残りの回目のうちに3回続けては表が出ない
事象III:1回目に表、2回目に表、3回目に裏が出て、残りの回目のうちに3回続けては表が出ない
の排反な3事象の和なので、
・・・(ア)
→の答えは(B)、の答えは(D)、の答えは(G)
さて、
とおくとき
が成り立つ。
(証明は、
http://d.hatena.ne.jp/actuary_math/20081211
の後半参照)
なので、
(∵)
→の答えは(G)
ここで、(ア)にを代入すると、
・・・(イ)
となる。
とおき、(イ)をまでたすと、
となる。(∵)
これを解いて、
∴
→の答えは(E)
なお、最後の平均値だけ得るのであれば次のような方法も考えられる。
A:直前が表でない(初期状態を含む)
B:直前1回だけ表
C:直前2回が表
という状態とし、 をそれぞれA,B,Cから3回連続で表が出るまでの回数の平均値とする。
Aの状態から1回硬貨を投げ、表(確率1/3)が出ればBの状態になるが、裏(確率2/3)であればAの状態のまま
したがって
以下、B・Cの状態からも式を立てると、
これらを連立させてとくと、
となりこれが求める答えとなる。
問題3
(1)
(の指数でと分母に2があるので括弧の中身をとしないように注意)
→の答えは(B)、の答えは(A)、の答えは(B)
これらを共に0にするは、
→の答えは(G)、の答えも(G)
同様に考えると、
→の答えは(A)、の答えは(B)、の答えは(A)、の答えは(B)
(2)
棄却域が
なので、分子の確率が小さく、分母の確率が大きいときに棄却される。
つまり、分子に帰無仮説の尤度関数が、分母に対立仮説の尤度関数が入る。
∴
→の答えは(H)、の答えは(D)
→の答えは(E)、の答えは(D)
同様に
∴
→の答えは(A)、の答えは(B)、の答えは(J)、の答えは(J)
さて、
(第2項は=0)
→の答えは(H)
同様に
ここで、
であることから、
∴
→の答えは(C)
Tの分布は自由度のt分布
→の答えは(D)
以上