2008年度アクチュアリー試験から(1)

昨年予告
http://d.hatena.ne.jp/actuary_math/20081225
したとおり、「例の解法」の使える問題を中心に何題か取り上げてみたいと思います。
(なお、問題文については(当面)掲載しませんのでご了解ください。)


今回は問題1(8)を取り上げます。


これは順序統計量の問題ですが、最小限の知識で答えを一つに絞り込むことができます。
まず、n=0のときにはE[X_{(2)}^n ] E[(X_{(3)}-X_{(1)})^n ] も(lの値に関係なく、)1になるはずですから、各選択肢にn=0を代入して残るのは(C)(G)(H)(I)に絞られます。


以下すべてl=1で考えます。


そして、n=1の場合を考えます。
http://d.hatena.ne.jp/actuary_math/20081111
でみたように
E[X_{(1)} ]=\frac{1}{4}
E[X_{(3)} ]=\frac{3}{4}
であることが分かります。

3回分の標本をX_1,X_2,X_3(括弧がつかない)とすると、
X_1+X_2+X_3=X_{(1)}+X_{(2)}+X_{(3)}
かつ
E(X_1)=E(X_2)=E(X_3)=\frac{1}{2}
であるので、
E[X_{(2)} ]=\frac{1}{2} \cdot 3-\frac{1}{4}-\frac{3}{4}=\frac{1}{2}
となることが分かります。

(C)(G)(H)(I)のうちn=1を代入して\frac{1}{2}
となるのは、(C)だけです。

つまり二つの答えはいずれも(C)以外ではありえないことになります。


実は、X_{(2)} X_{(3)}-X_{(1)} 確率密度関数が同じ[tex:f(x)=6x(1-x) \, (0最大値・最小値を押さえておくことが第一歩であり、それが分かっていれば道は拓けることがある
という例でした。