アクチュアリーとVaR、Tail-VaR

今日のタイトルは「アクチュアリー試験と・・・」ではなく、「アクチュアリーと・・・」であることに注意しましょう。


前から(損保数理のテキストの改訂版を入手してから)書こうと思って書き忘れていたことがありました。



「損保数理」、「生保1」、「損保」テキスト改訂について
http://d.hatena.ne.jp/actuary_math/20090609
というエントリーで
「損保数理のテキストの
『第7章 保険料算出原理(新設)』
については、
『期待値原理、標準偏差原理、VaR、Tail-VaR、エッシャー(Esscher)変換、ワン(Wang、王)変換』
などがポイントになるのだと考えられます。」
と書きました。


実際の改訂
http://d.hatena.ne.jp/actuary_math/20091012
では、
「期待値原理、標準偏差原理、エッシャー(Esscher)変換、ワン(Wang、王)変換」
は出ていますが、
「VaR(Value at Risk)、Tail-VaR(Tail Value at Risk;TVaR)」
が出ていません。
*1


損保数理のテキストの扉(「改訂によせて」)には
「『損保数理』を勉強される場合には、損害保険業全般にわたる基礎的な知識、ならびに確率・統計を中心とした数学の知識を、一定程度習得していることが前提となります」
とあります。
実務的に、「VaR、Tail-VaR」が「エッシャー(Esscher)変換、ワン(Wang、王)変換」より重要でないということはありえないと考えられますので、「VaR、Tail-VaR」について損保数理のテキスト委員会では、「損害保険業全般にわたる基礎的な知識」と考えられているのだと思われます。
のみならず、少なくとも数学を何らかの形で活用して金融・保険業に携われようとされる方にとって基礎的な知識だと考えます。


ちなみに、SOAの試験("Exam C Construction and Evaluation of Actuarial Models")のシラバス
http://www.soa.org/files/pdf/edu-2009-fall-exam-c.pdf
の2ページ目には、
"E. Risk Measures
1. Calculate VaR, and TVaR and explain their use and limitations."
とあります。


VaR、Tail-VaRについてご存知ない方は、例えば、
http://d.hatena.ne.jp/actuary_math/20090609
で挙げた
「損害保険における負債評価と保険リスク」
http://www.fsa.go.jp/frtc/kenkyu/ousyuu/08.pdf
のp33や、
http://ameblo.jp/ac2009/entry-10375974653.html
(2010/1/21 残念ながらサイト閉鎖…)
のご説明をご覧になることをお勧めいたします。

*1:テキストには「パーセント原理」が出ていてそれがVaRなのですが、VaRの言葉を出して、「パーセント原理」がVaRであることを述べることが望ましいと考えます。