アクチュアリー試験受験の知恵(1)
今回からシリーズ(回数は未定)で、
アクチュアリー試験受験のため知恵
のようなものをお届けしたいと思います。
主には数学の受験者を対象としていますが、それ以外の方にもヒントになりうる内容になるものと思います。
特に、昨年度から全問マークシート方式になっており、それを十二分に意識した内容とするつもりです。
(断りのない限り、すべて客観式で問われていると仮定してください。)
手始めに次のような問題を考えてみましょう。(過去問をアレンジしたものです。)
「
上図では、軸に平行、は、軸に平行である。
が上の一様分布に従う2次元確率変数であるとするとき、
の相関係数は、□である。」
この問題では、の座標もの長さも与えられていません。
そこで、の座標やの長さを何らかの文字で表すことから始められる方もいるかも知れません。
しかし、ここで以下のように発想の転換を図ります。
「の座標もの長さも与えられていないということはそれらが何であっても答えは同じということを意味する。
したがって、として進めてよい。」・・・(*)
これを踏まえて、計算すると
となります。
(*)については、以下のように正当化できます。
「の座標を、の長さを、の長さをとおき、
、とおくと、
(∵相関係数は定数の加減乗除では変わらない)であり、
は、で囲まれる三角形上の一様分布に従う。」
記述式でもこのような「おまじない」をつければ、計算を簡略化することは可能なのです。
実際の過去問では、が原点で、と与えられていました。このときはいくつかの選択肢から選ばせる方式ではなかったのですが、上記の考察から答えにはは含まれない(含む答えが出てきたら間違いである)ことが分かります。
このような、
「手がかりが与えられていない箇所については都合のいい(計算が楽な)数字・状況をあてはめてよい」
という考え方はアクチュアリー試験に限らず、SPI試験や公務員試験などあらゆる客観式試験に応用可能です。
ところが(アクチュアリー試験に限らず)ほとんどの問題集の解答では、あくまでも記述式の数学の答案として通用する書き方となっていることに注意が必要です。
客観式独自の考え方になれていない方は普段から意識しておくことが望ましいと考えられます。