電卓の使用について

このような記事を書くことを思い立ったのは、ある受験者の方のブログで「受験勉強のために関数電卓を購入した」という記事をみたからです。

電卓の使用はアクチュアリー試験では認められており、実際電卓を使わないと解けない問題が出ます。

ただし、一度でも受験したことがある方はご存知だと思いますが、
日本のアクチュアリー試験では関数電卓の使用が(今までは)「禁止」されています。
このことは、(残念なことに)受験要領には書かれて「おらず」、11月の始め頃に受験票とともに送られる注意書きで初めて明らかになります。

ところが、面白いことに、外国文献研究会(「諸外国のアクチュアリーに関する文献の中から比較的ホットな話題を選定し研究を行ってい」るそうです。)のページ
http://www.actuaries.jp/comm/gaibun/actuary0312.html
で日本を始めとする各国アクチュアリー試験の電卓について記載されています。
(ここでは取扱いませんが各国の試験の電卓の規定の違いは興味深いものがあります。)

日本の規定は以下のとおりです。
「<日本>
電子式卓上計算機 ただし、次の条件に該当する機種に限る。

イ.電源内蔵式で四則演算、√演算、数値のメモリーのみを有するもの【いわゆる関数電卓の使用は認めない。また紙に記録する機能、音(音階、音声等)を発する機能、プログラムの入力機能等を有するものの使用は認めない。】
ロ.数値を表示する機能が概ね水平であるもの
ハ.外形寸法が概ね次の大きさを超えないもの【18cm×26cm×高さ10cm】」

これを踏まえ、いくつかの(当たり前のようですが・・・)ポイントです。

1.√演算とメモリ機能は必須です。
(1)√機能があることを前提とした出題(例えば分散のルートをとって標準偏差を出す)がしばしば出題されます。時々√のない電卓があるので注意しましょう。
(2)メモリ機能の使いこなしが特に生保数理などでは重要になります。メモリ機能は普通のメモリの他にGT(グランドトータル)機能を有するものがありますが、GT機能が使いこなればより便利になります。

2.普段の学習においても、「普通の電卓」で答えを最後まで出す訓練をしましょう。
普段パソコンの表計算ソフトや関数電卓での計算に慣れていると普通の電卓の特性(つまり、関数電卓等と違って掛算・割算を先にやってくれずキーエントリーの順番通りの計算になること)に足元を掬われる危険性があります。
例えば、(極めて単純な例ですが)2+3×5といった計算だと、関数電卓ならこの順番でエントリーすれば答えが出ますが、電卓の場合は掛算のほうを先に入力しなければなりません。

3.電卓の使い方については、例えば(アクチュアリー試験ではないですが)
http://den-taku.seesaa.net/article/35572488.html
以下が参考になると思います。
(ここでは、電卓の細かい選び方やブラインドタッチの話しまで書かれていますが、アクチュアリー試験ではそこまでシビアになる必要はありません。)
ここでは、上記記事では書かれていない工夫を1つご紹介します。
例えばx=2のときに、1+2x+3x^2という式を計算する場合、
1から計算するとメモリ機能を使わないといけませんが、((3*x)+2)*x+1という順番で計算すれば、メモリが不要になります。

4.電卓の機能や大きさには制限がありますが、台数には制限はありません。実際に試験場で複数の電卓を持ってきている人を見かけたことがあります。

受験者の皆様が電卓を使いこなし合格に1歩前進されることを期待いたします。

(なお、電卓の使用については上記のとおり受験票と共に送られる注意書きで確定されるので内容が変更される可能性があることにご注意ください。)