アクチュアリー試験受験の知恵(8)

前回
http://d.hatena.ne.jp/actuary_math/20080822
の問題を穴埋め式であることを利用して別の角度から考えてみます。

問題を再掲します。
「サイコロをn(n \ge 2)振って1の目が出る回数をX、6の目が出る回数をYとするとき、
共分散Cov(X,Y)=\fbox{ }である。」

Cov(X,Y)=E(XY)-E(X)E(Y)
であり、
E(X)=E(Y)=\frac{n}{6}
となることは分かっていることとします。


ここでの考え方は、
「小さいnについて、具体的に求めてみる」
ということです。

n=1のとき、
(前回も述べましたが、)1と6の目が同時にでることはないので、
E(XY)=0
したがって、
Cov(X,Y)=E(XY)-E(X)E(Y)=-\frac{1}{36}

n=2のとき、
XY \ne 0
となるのは、
(1)1回目1の目、2回目6の目
(2)1回目6の目、2回目1の目
の2通りでその確率は、
\frac{2}{36}=\frac{1}{18}
このとき、XY =1
つまり、
E(XY)=\frac{1}{18}
であり、
Cov(X,Y)=E(XY)-E(X)E(Y)=\frac{1}{18}-\frac{1}{9}=-\frac{1}{18}

この段階ですでに、
Cov(X,Y)=E(XY)-E(X)E(Y)=-\frac{n}{36}
と推測がつきます。

この問題が出題されたときは選択肢がなかったですが、今の試験では選択肢があるので、この段階でほとんど選択肢が絞れると考えられます。
少し手間がかかりますが、n=3まで行えば完璧でしょう。(それでも一般のnを考えるよりずっと楽)

したがって、前回述べたような方法あるいは多項定理の利用が思いつかない場合は、このようにn=1,2くらいで計算して選択肢を絞るという手法の適用の余地が考えられます。

なお、このような考え方は記述式問題でもまったく無意味なものではありません。
自分の計算した答えがあっているかどうかを確認することができるからです。

次回は解答の「推測」と確認についてもう少し考えてみます。