アクチュアリー試験受験の知恵(9)

前回
http://d.hatena.ne.jp/actuary_math/20080823
の最後で触れたように答えの推定と確認について考えてみます。

いつものように過去問からです。
「1家族に子供がn人いる確率は[tex:(1-p)p^n \, (n \ge 0,0「推定」で解いてみましょう。
解答が
(1-p)\frac{x^k}{y^{k+1}}
の形であることを仮定しましょう。
これは、
\frac{1-p}{y} (\frac{x}{y})^k
とかけ、やはり幾何分布であることが分かります。

(i)幾何分布の確率関数は一般に
\alpha (1-\alpha)^k \, (k \ge 0)
とかけるので、
\frac{1-p}{y}+\frac{x}{y}=1
のはずです。
これより、
1-p+x=y \cdots (a)

(ii)この形のとき男の子供の数の平均は、
\frac{x/y}{(1-p)/y}=\frac{x}{1-p}
であり、これは、子供の数の平均
\frac{p}{1-p}
半分と「推定」できるので、(男女の確率が\frac{1}{2}ずつなので)
\frac{x}{1-p}=\frac{p}{2(1-p)}
これより、
x=\frac{p}{2}
これを(a)に代入して、
y=1-\frac{p}{2}
つまり、求める確率は、
(1-p)\frac{(\frac{p}{2})^k}{(1-\frac{p}{2})^{k+1}}
という形であることが分かります。

答えを「推定」したものですが、普通に解いた場合でも少なくとも上記(i)のようなポイントを押さえているかどうかを確認できることが望ましいと考えます。

他にも次のような確認は容易に実行できるもので、習慣付けるとよいでしょう。
(1)離散型確率変数の確率関数を求める問題の場合は、合計して1になるかどうかを確認する。(上記(i)の類似で)
(2)連続型確率変数の確率密度関数を求める問題の場合は、全区間積分して1になるかどうかを確認する。
(3)前回
http://d.hatena.ne.jp/actuary_math/20080823
とりあげたnを含む問題の場合はn=1,2など簡単な場合であっているかどうかを確認する。
(4)積率母関数m_X(t)を求めた場合は、t=0を代入して1になるかを確かめる。
(5)積分したら微分して元に戻るか確認する。
例えば、アクチュアリー試験受験直前期の方でも、\exp(-\frac{1}{a}x)(aは定数)のような積分を間違える場合があります(微分と勘違いしてと-\frac{1}{a}\exp(-\frac{1}{a}x)してしまった。)が、そのような間違いはこれを実行することによって防げます。)