アクチュアリー試験に役立つ知識(3)

今回から数回にわたって、ガンマ分布(カイ2乗分布を含む)に考えてみましょう。


アクチュアリー試験において、ガンマ分布\Gamma(\alpha,\beta)でまず覚えておかなくてはいけないことは、平均・分散・積率母関数ではなく、

(1)再生性
X \sim \Gamma(\alpha_1,\beta),Y \sim \Gamma(\alpha_2,\beta)
XYが独立のとき
X+Y \sim \Gamma(\alpha_1+\alpha_2,\beta)
(2)平均\frac{1}{\lambda}の指数分布e(\lambda)\Gamma(1,\lambda)とかけること
(3)自由度nカイ二乗分布\chi^2(n)\Gamma(\frac{n}{2},\frac{1}{2})とかけること
の3つです。


確率密度関数の式、平均、分散、積率母関数なども最終的には覚えておいたほうがよいのですが、それは直前で十分です。


実際にガンマ分布で出題されるのは、(後ほど取り上げる予定のカイ2乗分布を除くと)
α=n(整数)、β=1・・・(★)
のケース
確率密度関数f(x)=\frac{1}{(n-1)!} \cdot x^{n-1} \cdot \exp(-x) 、平均も分散もn
が圧倒的に多いので、それを優先して覚えるべきです。


過去問における出題例は以下のようになります。(いずれも(★)に該当するものであることにご注意ください。)


(例題1)
「確率変数X,Yが互いに独立で、それぞれの確率密度関数
f_1(x)=x \cdot e^{-x} \, (x>0)
f_2(y)=e^{-y} \, (y>0)
であるとき
U=X+Y確率密度関数g(u)=(u>0)である。」


X \sim \Gamma(2,1),Y \sim \Gamma(1,1)なので、
U=X+Y \sim \Gamma(3,1)
であり、
g(u)=\frac{1}{(3-1)!} \cdot u^{3-1} \cdot \exp(-u) =\frac{1}{2} \cdot u^2 \cdot \exp(-u)
となることがわかります。

(例題2)
確率密度関数f(x)=\frac{e^{-x} \cdot x^r}{r!}x>0rは正の整数)
で与えられる正の値をとる確率変数Xの期待値および分散は、
それぞれE(X)=\fbox{1},V(X)=\fbox{2}である。」


X \sim \Gamma(r+1,1)なので、
E(X)=V(X)=r+1
となることがわかります。

次回も、もう少しガンマ分布について考えてみます。