アクチュアリー試験受験の知恵(14:最終)
試験まで1週間を切っているので、今回で「アクチュアリー試験受験の知恵」シリーズも完結させたいと思います。
今回は、前回考えた「真ん中と端」ということを、別の問題例をつかって考えてみます。
もちろん過去問からです。
(問題)
「半径1の円周上に3点A,B,Cを無作為にとる。このとき、3点を結んでできる三角形の面積の期待値は□である。
(A)
(B)
(C)
(D)
(E)
(F)
(G)
(H)
」
円周を平面上の単位円とし、を固定し
角度はから反時計周りに測った角度として、
∠
∠
()
とおきます。
ここまでは、まず問題なくできると思います。
ただし、このあとの積分が以外に厄介です。
ここで、「真ん中と端」を考えることによってこの問題のありそうな答えというものの見当をつけていきます。
まず、は、の一様分布ですから、確率密度関数にという分数が掛けられることになります。
このことから、積分でが出てきて、最終的には、
という形になるのではないかと「予想」されます。
少なくとも積分でが出てくるとは考えにくいです。
したがって、答えの候補は(A)〜(D)と予想されます。
次に、「端」つまり面積の最大値を考えます。
が正三角形になるとき(一種の「真ん中」です)に面積が最大になることは容易に想像され、実際それで正しいことが三角比を使って証明できます。(証明は省略)
このときの面積は、
です。
一方、底辺が(でなくても同じですが)の正方形で高さがの正四角錐を考えると、高さの「平均値」は、です。
(底面積高さの角錐の体積がであることを思い出しましょう。)
(A)〜(D)のそれぞれを小数点以下第3位まで表すと、(として)
(A)0.478
(B)0.531
(C)0.637
(D)0.796
であり、
を小数点以下第3位まで表すと0.433なので(こちらは試験で√機能を持つ電卓が使えるのである程度正確に出せます)
このことから(A)が正解と予想され、実際それが正解になっています。(ちなみに、(E)〜(H)を含めてもに一番近いのは(A)です。)
さすがにこれは推測に頼っており外れる可能性も少なからずあるのですが、上記のように普通に積分した答えを検証するのにも活用できます。
今年度の試験前のアクチュアリー試験関係の投稿は次回で最後にしようと思います。
次回は、今までのまとめとして、これまで述べてきた考え方の「基盤」ともいえるものをご紹介したいと思います。