アクチュアリー試験のための年金数理人会試験解説(1)
今回から新シリーズを始めます。
標題のとおり、社団法人日本年金数理人会が実施している能力判定試験(以下本シリーズでは「年金数理人会試験」*1といいます)の過去問
http://www.jscpa.or.jp/siken/indexs.html
のうち基礎数理を新しいものから順に解説していきたいと考えています。
能力判定試験は基礎数理、年金数理、会計・経済・投資理論、年金法令・制度運営の4科目があり基礎数理は、アクチュアリー試験の数学、生保数理、損保数理の3つを合わせた内容となっています。(ただし損保数理のウェートは小さくまた数学の勉強でカバーできる部分も大きいため、この試験に受けるため「だけ」であれば損保数理の勉強はそれほど必要ないと考えます)
この試験は上記のURLに過去問とその解答がすべて無料で掲載されているのはいいのですが、残念なことに解説がありません。その解説をここで掲載することによって皆様の学習に資することを目指します。
そのような趣旨のため、いわゆる「例の解法」でない普通の解法で解く問題も数多くあると思います。もちろん「例の解法」が使えるものは積極的にご紹介していきます。
また、生保数理・損保数理についても飛ばさずに解いていくのでそれらを受験される皆様にもご参考になるのではないかと考えます。
また、20年度の問題では一部文字化けのようなものがみられます。
例えば、問題1の(8)で&が2つくっついたようなものがあります。これは、だと考えられます。
これは恐らく
(a)出題者側でMicrosoft WORDの数式エディターで作成
(b)Web掲載の担当者側のWORDに数式エディターがインストールされておらず、そのままPDF化した
ときに生じる現象だと思われます。
(こう書くのは同様の経験が私にもあるからです。)
皆様もお仕事などでMicrosoft WORDの数式エディターで作った数式を含むファイルを送信される場合には、相手がそれを読める環境にあるのかどうかご注意され、そうでなければ最初からPDFに変換して送るなどの工夫をされることをお勧めいたします。
前置きがかなり長くなってしまいましたが、平成20年度の問題1の(1)からスタートです。
(問題)
(1)5個のサイコロを転がすとき、得られた1の目の数を 、2の目の数をとする。
この同時密度関数を としたとき、
である。
(ア)
(イ)
(ウ)
(エ)
(オ)
(カ)
(キ)
(ク)
(ケ)
(コ)
(解説)
「同時密度関数」という言葉は通常は連続型の確率変数に使うものなので少し違和感があります。「同時確率関数」という表現のほうがよりよいと考えます。
それはともかく、純粋に数学的に考えるとこの場合はを求めようということでしょう。
これは普通に分母・分子を数えあげればよいです。
5個のサイコロを全部区別して、その目の出方は通り。
1の目の2回分の出方は5個のサイコロから1の目の出る2個のサイコロを選ぶ場合の数で通り。
2の目の1回分の出方は、残った3個のサイコロから2の目の出る1個のサイコロを選ぶ場合の数で通り。
残りの2個のサイコロの目は3〜6の4通りの目が出るので目の出方は通り。
よって求める確率は、
・・・(カ)
*1:タイトルが長くなるためこのような表現にしていますが、この試験の全科目に合格しても年金数理人つまり、年金数理人会の正会員にはなれず準会員になれるだけなので十分ご注意ください。年金数理人の詳しい要件については、年金数理人会のサイトなどでご確認ください。