アクチュアリー試験のための年金数理人会試験解説(2)

前回
http://d.hatena.ne.jp/actuary_math/20090225
から始まったシリーズの2回目です。

今回は平成20年度問題1(2)です。


(問題)
(2)正規母集団N(\mu, 5^2)の平均値\muの検定を行う。帰無仮説H_0:\mu=100を対立仮説H_1:\mu=105に対して有意水準5%で検定を行う際に、第2種の誤りをおかす確率を1%以下にするために最低限必要な標本
数は\qedである。
(必要に応じて標準正規分布の値、
u(0.01) = 2.326
u(0.02) = 2.054
u(0.03) =1.881
u(0.04) =1.751
u(0.05) =1.645
を使用し、さらにこの間の値を使用する場合には直線補間にて使用すること。)

(ア)16
(イ)17
(ウ)18
(エ)19
(オ)20
(カ)21
(キ)22
(ク)23
(ケ)24
(コ)25


(解説)
標本数をnとします。
まず帰無仮説の棄却域を求めます。
n個のX_iが、独立にN(100, 25)に従うとき、平均\bar{X}は、N(100,\frac{25}{n})に従います。
よって棄却域は、\bar{X}\ge x_0=100+u(0.05)\frac{\sqrt{25}}{\sqrt{n}}です。
一方、n個のY_iが、独立にN(105, 25)に従うとき、平均\bar{Y}は、N(105,\frac{25}{n})に従います。
P(\bar{Y} \le x_0) \le 0.01となるnを求めることに相当します。
つまり、
x_0 \le 105-u(0.01)\frac{\sqrt{25}}{\sqrt{n}}
となり、
{u(0.05)+u(0.01)}\frac{\sqrt{25}}{\sqrt{n}} \le 5
これより、
n \ge \frac{(3.971)^2 \cdot 25}{25}=15.76 \cdots
なので、求める答えは(ア)の16です。


参考URL
「第一種の誤りと第二種の誤り」
http://actuary.upthx.net/pukiwiki/index.php?1.1.2.1.3.%C2%E8%B0%EC%BC%EF%A4%CE%B8%ED%A4%EA%A4%C8%C2%E8%C6%F3%BC%EF%A4%CE%B8%ED%A4%EA
正規分布に従う統計量」
http://actuary.upthx.net/pukiwiki/index.php?1.1.2.2.2.%C0%B5%B5%AC%CA%AC%C9%DB%A4%CB%BD%BE%A4%A6%C5%FD%B7%D7%CE%CC


なお、
「医療情報用語を覚えよう」
http://www5f.biglobe.ne.jp/~h-it/
を主宰されているNAOさんが、
第1種の誤り、第2種の誤りをそれぞれ
「あわてものの誤り」「ぼんやりものの誤り」と表現されています。
http://www5f.biglobe.ne.jp/~h-it/mlcont/mc0164.htm
これは言い得て妙だと思います。