アクチュアリー数学の基礎知識のための参考書2冊

このブログで何度か
高校3年〜大学1・2年くらいの微分積分線型代数の「基礎」を習得
すべきと申し上げていますが、
(例えば、 http://d.hatena.ne.jp/actuary_math/20090930
それを学ぶのに効率的な書籍がなかなか出ていなかったのも確かです。


東北学院大学准教授の神永正博先生のブログ
http://kaminaga-weyl.blogspot.com/2009/10/blog-post_20.html
にある、
神永先生と東北学院大学で講師をされている藤田育嗣先生、東邦大学等で講師をされている石川賢太先生が著された
「計算力をつける微分積分」(isbn:4753600319
「計算力をつける線形代数」(isbn:4753600327*1
が内容的には私の理想とするものにかなり近いものになっているようです。
(これらの本にはまだ目をとおしていないので、書き方が分かりやすいかどうかは不明ですが)


これらの本の目次については
http://www.rokakuho.co.jp/data/books/0031.html

http://www.rokakuho.co.jp/data/books/0032.html
をご覧ください。
なお、上記は出版社の内田老鶴圃(うちだろうかくほ)のサイトでの紹介ですが、出版社サイトで注文すると(2010年1月末まで)で送料無料だそうです。


これらの本は数学を道具として利用する理工系学生を主なターゲットにしたものですが、アクチュアリー試験の数学の基礎知識(具体的に確率・統計を学び始めるまでの段階)の参考書としても十分使用可能と考えます。


アクチュアリー試験の立場で(欲を)言えば
(1)「微分積分
この本に、べき級数微分方程式の解法、ガンマ関数・ベータ関数、可能であれば3次元極座標系が加われば理想的(入っているのかも知れませんが)
(2)「線形代数
とりあえずアクチュアリー試験に受かるためであれば第7章まで+第13章で対応可能。さらにn次正方行列の行列式の簡単なもの(といっても上(下)半三角行列の行列式が対角成分の積で書けることだけですが)が入ると理想的
といったところでしょうか。
2009/11/14 「微分積分」で「入れば理想的」の項目として「べき級数」を追加


神永先生の
http://kaminaga-weyl.blogspot.com/2009/11/1.html
のエントリーもなかなか含蓄があります。*2

2010/3/19 追記
当初のエントリー(2009/11/11)の10日前に小飼弾さんの評があったことに気付きました。
http://twitter.com/dankogai/status/5336461352

*1:私は「線型」派ですが・・・http://twitter.com/actuary_math/status/4002322589

*2:念のために申し上げますと、私も数学科出身の端くれで、上記のエントリーにあるε−δ論法などの洗礼(?)も受けています。私のブログでは、基本的には「道具としての数学(あるいは数学以前?)」を念頭に書いていますが、理論的な厳密性を重視される方もいらっしゃることを想定して http://d.hatena.ne.jp/actuary_math/20081210http://d.hatena.ne.jp/actuary_math/20081211 などのエントリーも行っているところです。