アクチュアリー採用問題の解答案(2)

本題に入る前にお知らせです。
数学の解答を
http://d.hatena.ne.jp/actuary_math/20100103
でアップしましたが、
現役大学院生(現時点で数学他3科目に合格)の「たま」さんのブログで、数学の解答がPDFファイルで公開されています。
http://albert0302.blog43.fc2.com/blog-entry-255.html
当方と違って「真面目に」解いているところもあるので合わせてご参照ください。


さて、前回
http://d.hatena.ne.jp/actuary_math/20100114
に引き続き
アクチュアリー採用問題の解答案
です。


今日は、りそな信託銀行
http://d.hatena.ne.jp/actuary2/20090421/1240311809
です。


問1、問2は中学入試問題に出てきてもおかしくない問題ですが、問1は慣れていないとと意外に厄介なものになる可能性があり*1、また、問2の特に(2)は粘り強い・丁寧な議論が求められます。
問3は二項定理の基礎的な問題です。

全体としては、おそらく少しのミスが致命的になると思われるので、そうならないように細心の注意が必要です。
この会社には知り合いがいないのでこの問題をみた限りでの感想に過ぎませんが、おそらくそういう「完璧さ」をこの会社が求めているのだと考えます。


解答案の注意点については
http://d.hatena.ne.jp/actuary_math/20100114
をご覧ください。


問1

(1)
0,1,2,3,5,6,7,8,9の9つの数字を使う(変則)9進法と考える。

500÷9=55 余り 5
55÷9=6 余り 1
のため、
10進法の500は普通の9進法(数字の4を含む)の615
ここでは、
4を除いて考えるので、
4→5,5→6,…の読み替えが必要
つまり716番になる。

(2)
同じく
0,1,2,3,5,6,7,8の8つの数字を使う(変則)8進法と考える。
5000÷8=625 余り 0
625÷8=78 余り 1
78÷8=9 余り 6
9÷8=1 余り 1
のため、
10進法の5000は普通の8進法(数字の4を含む)の11610
4,9を除いて考えるので、
4→5,5→6,…の読み替えが必要
つまり、
11710番になる。


問2
365÷7=52 余り 1
366÷7=52 余り 2
であることから、
N年1月1日から(N+1)年1月1日にかけて、
(a)N年が平年(うるう年でない年)であれば曜日が1つ進む(N年1月1日:日曜日→(N+1)年1月1日:月曜日、月曜日→火曜日等)
(b)N年がうるう年であれば曜日が2つ進む(日曜日→火曜日、月曜日→水曜日等)
ことに留意する。

また、整数を7で割った余りを(0〜6)を
0:日曜日、1:月曜日、…、6:土曜日・・・(*)
に対応させることにする。
このとき、
(2000+n)年1月1日の曜日は次で定義される数列a_nを7で割った余りを(*)で対応させたものにする。
a_1=1
a_{n+1}=a_n+1((2000+n)年が平年のとき)
a_{n+1}=a_n+2((2000+n)年がうるう年のとき)

(1)
2001年から2100年までに100年あるがそのうち、うるう年は2004年、2008年、…、2096年の24年(2100年は平年)で残り76年は平年
したがって、
a_{101}=1+76+24*2=125
これを7で割った余りは、6なので、
2101年1月1日は土曜日…(答)

(2)
2001年から2399年までに399年ある。
そのうち、4で割れる年は、99回あるが、そのうち2100年、2200年、2300年の3回は平年なので、99-3=96年はうるう年。残り303年が平年
したがって、
a_{400}=1+303+96*2=496
496÷7=70.8…
なので、

(a)
1〜496までに7の倍数(7でわった余りが0)の数は70個ある。

次に、
a_{n+1}=a_n+2((2000+n)年がうるう年のとき)
により「飛ばされる」(つまり、(2000+n)年がうるう年のときのa_n+1)整数を考える。

(b)
n=1 \sim n=5を考えると、
a_1=1,a_2=2,a_3=3,a_4=4,a_5=6となり、5が飛ばされる。
以下同様に考えると、2001年から2100年までの間で飛ばされるのは
5,10,…,120(2096年と2097年の間)である。
この中で7の倍数は35,70,105の3つ

(c)
次に
2097年(a_{97}=121)から2103年(a_{103}=127)までは平年が続き飛ばされる数はない。
2104年(a_{104}=128)から2105年(a_{105}=130)までの間で129が飛ばされる。
以下、
2101年から2200年までの間で飛ばされるのは、
129,134,…,244(2196年と2197年の間)
で、7の倍数は154,189,224の3つ

同様に考えると
(d)
2201年から2300年までの間で飛ばされるのは、
253,258,…,368(2296年と2297年の間)
で、7の倍数は273,308,343の3つ
(e)
2301年から2400年までの間で飛ばされるのは、
377,382,…,492(2396年と2397年の間)
で、7の倍数は392,427,462の3つ

従って、
a_{1}からa_{400}の間の7の倍数の数は、
(a)−(b)−(c)−(d)−(e)
=70-3-3-3-3
=58

求める確率は
\frac{58}{400}=\frac{29}{200}…(答)


ちなみにエクセル(weekday関数)で確認すると

58
56
58
57
57
58
56

だそうです。


問3

(1)
二項定理
(a+b)^n=\sum_{k=0}^n {}_nC_{k} \cdot a^{n-k} \cdot b^k

a=1,b=x
を代入して
(1+x)^n=\sum_{k=0}^n {}_nC_{k} x^k…(答)

(2)
(1+x)^{2n}=(1+x)^n(1+x)^n
=\sum_{k=0}^n {}_nC_{k} x^k\sum_{j=0}^n {}_nC_{j} x^j
=\sum_{k=0}^n {}_nC_{k} x^k\sum_{j=0}^n {}_nC_{n-j} x^j(∵{}_nC_{j}={}_nC_{n-j})

右辺のx^nの係数は
\sum_{k+j=n} {}_nC_{k} \cdot {}_nC_{n-j}
=\sum_{k=0}^n {}_nC_{k} \cdot {}_nC_{n-(n-k)}
=\sum_{k=0}^n ({}_nC_{k})^2

一方(1)でn \to 2nとして
(1+x)^{2n}=\sum_{k=0}^{2n} {}_{2n}C_{k} x^k
なので、右辺のx^nの係数は
{}_{2n}C_{n}


{}_{2n}C_{n}=({}_nC_{0})^2+({}_nC_{0})^2+ \cdots +({}_nC_{n})^2…(証終)

*1:私は、フジテレビ「熱血!平成教育学院」で似たような問題を見ていました。