文系学部出身とアクチュアリー

今日は「文系学部出身とアクチュアリー」というテーマで考えてみます。


このブログの読者
http://d.hatena.ne.jp/actuary_math/20090213#c1234968961
の方で
Yahoo!知恵袋に
「実務経験を積めるような職場に就職するのには理学部数学科ではなく経済学部卒でも可能なのでしょうか?」
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1423314534
という質問を寄せられた方がいらっしゃいます。


この質問への回答に対するコメントの最後で
「回答者様の周りにも文系学部出身のアクチュアリー.もしくはアクチュアリー志望の方はいらっしゃるのでしょうか?」
と聞かれたのですが、この質問が「解決済み」になり、これ以上答えを書くことができないので、こちらのブログを読まれることを期待して、こちらのほうに書き継いでみたいとおもいます。


まず、私の知っている人の中で、文系出身でアクチュアリー正会員の方はいます


また、「文系がアクチュアリーを目指す」というブログを書かれているmassaraさんが1次試験3科目に合格されています。
http://actuary.blog34.fc2.com/blog-category-1.html


(このブログを読まれている方でそんな誤解をされている方はいらっしゃらないと思いますが)アクチュアリー試験は、数学科の方ばかりが受験されていてそのような人たちと勝負しなければいけないとの記述をしばしば見かけます。
例えば、
http://okwave.jp/qa4728281.html
で回答されている方々のように。


実際は数学科ばかりが受けているわけではないし、1次試験については相対評価ではなく、合格基準点さえとれればよいので、文系出身の方でも押さえるべきところを押さえておけば十分合格が可能です。


もちろん高校数学II(ローマ数字の2*1 )の段階で苦手意識を持たれているとすれば、申し訳ありませんが、アクチュアリー試験の受験には向かないと思うので他の選択肢を考えられることをお勧めいたします。

それがクリアできたとして、アクチュアリー試験受験のために必要な「数学」の基礎知識としては
(1)高校数学III(ローマ数字の3)までの関数(指数関数、対数関数、三角関数)、数列、微積分、行列、確率を「完璧」にマスターすること*2
(2)大学教養課程の微積分の基礎(偏微分、ヤコビ行列式、重積分、ガンマ関数、ベータ関数、べき級数、(常)微分方程式*3
(3)大学教養課程の線型代数の基礎(行の基本変形、はきだし法、行列式固有値固有ベクトル
になると思われます。
その他
(4)積分論の知識(フビニの定理、ルベーグの収束定理)があると視野が広がりますが、これは必須ではありません。


特に(2)(3)については文系学部では必修になっていないので、それらについては各自でマスターする必要があります。


ただし、これらについては大学教養課程で教えられるすべてが対象となるわけではないので、
今後「アクチュアリー試験研究WIKI
http://actuary.upthx.net/pukiwiki/
のほうに、アクチュアリー試験で必要となる基礎知識をまとめていくことを考えています。

*1:ローマ数字の2は機種依存文字のためI(iの大文字)2個で代用しています

*2:「完璧」とは、http://d.hatena.ne.jp/actuary_math/20080829 の最後に書いてあるような間違いを絶対にしないという意味です。

*3:微分方程式は昔の高校数学の微分積分で教えていたのですが最近は外れているようです。微分方程式といっても複雑なものは必要なくdy/dx=-cyのようなものが解ける程度で十分です。