アクチュアリー会の「セミナー」今昔

前のエントリー
http://d.hatena.ne.jp/actuary_math/20100408
の続きを書こうかと思っていたのですが、それはまた後ほどとして、今日は
アクチュアリー会の『セミナー』今昔」というタイトルで、主に「ムーンライトセミナー」と「夏季*1セミナー」を取り上げます。


今日のきっかけとなったのはKazumaさんの
http://twitter.com/kazumuscle/status/12151156012

生保の価値開示 住生、株式会社並みに 信頼向上へ夏にも新指標 新指標は「EV(エンベディッドバリュー)」と呼ばれ、今持ってる保険契約から得られる見込みの利益と純資産価値の合計額を示す。:さっさと数学の勉強を終わらせて生保数理をやればこんなんがわかるんやろか。はよ数学やろ。

というtweetです。


結論を先に言えば、今のアクチュアリー1次試験生保数理にはEVは出てきません。テキスト(二見氏の「生命保険数学」)にもありません。
もちろん生保アクチュアリーの2次試験(私は受験していませんが)では、EVなどは知ってて当然の知識だと思われるので、実務をやられる中で習得するか、どこかで学びとるしかありません。
今、学生さん(生命保険アクチュアリーが身近にいない人)がEVについて手っ取り早く情報を得たければ、EVを算出している会社のサイトに言ってその説明をみることだと考えます。*2


さて、このような一般的な(ネットですぐにわかる)知識から更に踏み込もうとすればアクチュアリー会セミナーを受講することになります。

現在アクチュアリー会が実施しているセミナーとしては次のようなものがあります。
(1)例会
(2)ムーンライトセミナー

(1)は年数回程度開催され、会員であれば誰でも参加可能ですが、各回のテーマもばらばらで(それぞれのテーマの中には興味深いものも含めれますが)1回2〜3時間程度の「座学」なので、なかなか体系だった知識を得るのは厳しいと考えます。また参加者間の交流もできません。
(2)は1つのテーマで数回程度開催され、メンバー間の協同作業等も含み、(時には業界の枠を超えた)他社の方ともお近づきになれるいい機会なのですが、参加資格が「準会員」(1次試験全科目合格)以上に限られます


このことは、体系だった知識やあるいは知識以上に大事な(他社の人との)ネットワークを広げることがもっとも必要かつ有益だと考えられる、入社数年間に、公式にそういう経験を積む場が「なくなった」ことを意味します。


「なくなった」と書いたのは昔はそういう場があったからです。


それは、
夏季セミナー
という名前で4月頃から何度か打ち合わせを重ね夏ごろに数日合宿して発表というものでした。
発表しているテーマ自体は、他愛もないものだったと思いますが、生保・信託・損保の業界の枠を超えたネットワーク形成ができる場でした。
私も参加の機会に恵まれたのですが、そこで得たネットワークはその後も役に立ったと思います。


経費削減が叫ばれ、今ではこのような「贅沢」はもう許されなくなっています。したがって今ある状態を受け入れなければなりません


このブログを読まれている(アクチュアリーを目指す)皆様には
(1)なるべく早く準会員になっていただいてムーンライトセミナーの参加資格を得ること
(2)アクチュアリー受験研究会
http://pre-actuaries.com/
を始めとするSNS・ブログ・Twitter等の活用によるネットワーク形成
をお薦めしたいと思います。


このような(業界を超えた)他社の方とのネットワーク形成が前にもお話しした「転活」http://d.hatena.ne.jp/actuary_math/20100319
等でも活用できると考えます。


(2010/4/17 補足
The企業年金BLOGを運営されているTONNYさんから、委員会活動に関するTweetをいただきました。
委員会については書こうかどうか迷ったのですが、現状委員が公募制になっておらず、結局は、上記のネットワーク形成後に参加することが多いことから割愛したことを付言いたします。)

*1:「期」だったかもしれません

*2:例えば http://www.td-holdings.co.jp/ir/investors/business/ev/index.html 「エンベディッド・バリュー」でGoogle検索したら一番目にヒット